遮光眼鏡とサングラス
2014年05月13日 掲載
雨上がりに美しい虹が見られることがあります。虹の色は赤、橙、黄、緑、青、藍、紫の7色に分かれています。太陽の光には、多くの波長(光の種 類)が含まれていますが、人間の目が感じる波長は380nm~780nm(1nmナノメートルは1億分の1メートル)の間です。380nm(紫)より短い 波長部分に紫外線が、780nm(赤)より長い波長部分には赤外線が存在します。紫外線は以前から日焼けや雪目の原因として、生体を障害する強いエネル ギーを持つことで知られています。
最近紫外線に隣接する380nm~500nmの青色光線が目に対して非常に有害であることが分かってきました。青色光線は紫外線に次いでエネルギーが強 く、波長が紫外線より長い分眼球の中で減衰することなく、網膜まで届いてしまうのです。成人の中途失明疾患として知られている「加齢黄斑変性」の原因の一 つとしても考えられています。
カロチノイドや亜鉛やルテイン等が含まれるサプリメントは、米国でも多く服用されています が、青色有害光線による網膜黄斑部の障害を、黄斑組織の段階で少しでも減らす目的で作られたものです。遮光眼鏡は有害光線そのものを、目の中に入る前に カットしてしまう目的で使用されるものです。
遮光眼鏡のその他の特徴としては、次の様な点があげられます。
- まぶしさやギラツキが少なくなる・・・青色など波長の短い光は散乱しやすいがそれがカットされる。
- ピントがよく合って見える・・・波長の短い青色光線は屈折しやすいので網膜の手前に焦点が合ってしまうが、それがカットされる。
- クリアーにハッキリ見える・・・背景が暗くて見ようとする物が明るい時を、コントラストが高いと言います。まぶしいと全体が明るくなってしまい、見ようとする物がぼやけてしまいます。遮光眼鏡を用いるとまぶしさが減り、明るい所と暗い所がハッキリ区別されて、コントラストが良くなります。
●遮光眼鏡の種類
メーカーによっても異なりますが、大別して2種類に区分されます。
A・・・ 500nm以下の光線を100%カットするもの
まぶしさやギラツキの原因となる青色光線と紫外線は全てカットされますが、色目も濃く視界が暗くなるため運転は困難となります。網膜色素変性症、白子症、無虹彩症、錐体杵体ジストロフィー等の目の病気のある方に適しています。
B・・・ 400nm以下の光線は全てカットするが400~500nmの光線の一部は透過させるもの(色目や濃さに多くの種類がある)
遮光レンズの特徴はほぼ維持しながら色目も明るく大変使い易いためこのタイプが広く一般的に使われています。白内障、加齢黄斑変性症等の予防のため、 白内障手術の術後のまぶしさ予防と保護のため、緑内障・糖尿病網膜症・ぶどう膜炎・ドライアイなどからのまぶしさ予防のためなどに広く使われています。ま たコントラストが良くなる特徴を生かしてパソコンのモニターによる疲れ目の減少目的や、芝目がハッキリすることからゴルフやテニスなどスポーツ用としても 使われています。
●遮光眼鏡とサングラスとの違い
一般的なサングラスはファッション性目的で使われることも多いですが、目に入る可視光線を均一にカットするため、必要とされる明るさ を感じる光までカットされてしまいます。遮光眼鏡のように紫外線とまぶしさを感じる短波長光を選択的にカットしているわけではないので、明るい所ではまぶ しさが残る割りには、少し暗いところでは暗く感じることがあります。サングラスにも紫外線カットされたものも多くありますが、その場合でもまぶしさの原因 ともなる有害な青色光線がカットされているわけではありません。遮光眼鏡は色目がかなり薄くても、まぶしさは少なく、紫外線も完全にカットされるため高機 能サングラスとも言えます。
●遮光眼鏡の求め方
目の老化が心配な方や普段まぶしさが苦になる方は、平田眼科で診察を受ける時に、医師にご相談下さい。AタイプBタイプ共に、近視用や パソコン用、遠近両用など通常の全てのメガネでレンズを遮光レンズ加工で作ることが出来ます。Bタイプで色目の薄いものは普段使うメガネとして快適に使用 出来ますが、色目の種類や濃さによっては車の運転に不向きなものもあります。
購入時に実際に色見本を見てよく相談して作る必要があります。(色見本があり、遮光眼鏡をよく扱っているメガネ店なら安心です)白内障の手術後の場合は もちろん、黄斑変性症、白内障、緑内障、角膜乾燥症、虹彩炎その他まぶしさが強く現れる目の病気治療中で、当院医師が必要と認めた時は、斜視や弱視の眼鏡 と同様に、遮光眼鏡費用は税金の確定申告で医療費控除の対象となります。特別なケースとして、視覚障害による身体障害者手帳を持っておられる場合で、遮光 眼鏡が必要な場合は、遮光眼鏡代金に一定額の補助金が交付されます。両者共に眼鏡処方時に医師による証明書等が必要となりますので、平田眼科で眼鏡処方をご希望になる時にご相談下さい。