乳幼児の目の健康
2014年05月16日 掲載
赤ちゃんはお母さんのお腹から出て目に光が 入った時から視力の発達が始まります。生まれてすぐは明暗しか分かりませんが、間もなく動く物を目で追うようになり、6ヶ月で0.1、1才で0.2、2才 で0.4と発達し、3才では6割程度の幼児が1.0まで見えるようになると言われます。色の判別は生後6ヶ月頃からと言われます。
子供の目の発達を見る時、視力だけが問題とされるのではなく、両眼で物を見たり立体的に物を見る力の発達も重要視されます。成長段階における目のチェックポイントを見てみましょう。
新生児の場合
- 目やにや涙がいつもあふれていないか・・・・・
新生児結膜炎の原因として生後1~3日で発症する淋菌性結膜炎が知られていますが、最近は5~10日で発症するクラミジア性結膜炎が性感染症者の激増によ り増えています。涙目は先天性鼻涙管閉塞による場合がほとんどですが、自然治癒も多いので目頭の涙のう部マッサージを続けて様子をみてもよいでしょう。治 りが悪い時は医師が閉塞部の開放術を行ないます。 - 片方のまぶただけ開きが悪くないか・・・・・
片方の目だけが使われないと視力が発達せず弱視となってしまいます。同じ理由で赤ちゃんの片目を眼帯で隠すことは危険です。 - 瞳(黒目)が白く濁っていたり黄色く光ったりしないか・・・・・
先天性白内障の場合程度が重ければ直ちに手術が必要なことがあります。赤ちゃんの瞳が猫の目のように光って見える時は、15,000人の出生に1人と言われる網膜の悪性腫瘍である網膜芽細胞腫が疑われます。直ちに眼底検査を受ける必要があります。 - 角膜(茶目)部分が異常に大きくないか・・・・・
非常にまれですが、先天性緑内障があると眼球が膨張し牛眼と呼ばれる状態になります。 - 動くものを全く目で追わないか・・・・・
眼球に異常が無くても視神経や脳に障害があると著しく視力が悪いことがあります。 - まつ毛がべったり目にくっついていないか・・・・・
顔が発育するとまぶたが外側へ向き当たらなくなることが多いですが、症状が強く絶えず黒目にキズをつけている場合は手術が必要となります。
1才6ヶ月児健診
この時期には、新生時期の項目に加えて次のような点もチェックします。
- 目が内側に寄ったり外側にずれたりしないか、また横目で見たり顔をかたむけて見たりしないか・・・・・
この時期は両眼を使って物を見る力がついてきていますが、斜視や片眼弱視があると目つきに異常が認められます。 - 見にくそうに目を細めて見ようとするか・・・・・
強い近視や遠視または乱視等で見づらい時目を細めると少し見やすくなります。
3才児健診
3才児では、7割以上で視力検査が可能となります。また練習すれば他の眼科検査もある程度行なえるようになりますので、家庭でのチェックに加え全員が目の3才児健診を受けるように定められています。
- 視力は0.5以上あるか・・・・・
検査へのなれや方法の違いで子供の視力は大きく変動しますので注意が必要です。 - 視力の左右差は大きくないか・・・・・
両眼で見ていると片眼の弱視が見落とされていることがあります。 - 物を立体的に見る力があるか・・・・・
立体感覚や遠近感覚の発達は将来のためにとても大切です。 - 明るい所で片目をつぶるか・・・・・
斜視があるとまぶしい時片目をつぶる傾向があります。
以上、乳幼児期の重要な目の観察ポイントについて述べましたが、家庭での日常の生活環境を正すことも大切です。乳幼児がテレビやパソコン画面を長時間見る ことは避けなければなりませんが、上のお子さんがテレビゲームをしている時は横から見ていれば強い影響を受けてしまいます。また画面が目より高い所にあっ て上目づかいで見つづけると、目が乾燥してしまうだけでなく上まぶたが角膜を圧迫して乱視になる恐れがあると言われます。
乳幼児は目の異常を自ら訴えることは出来ません。母親の日頃の観察がとても大切です。そして少しでも異常を感じられた時は、出来るだけ速やかに眼科専門医の診察を受けるようにして下さい。治療は早期に開始する程効果も早く現れます。