「眼精疲労」(疲れ目)
2014年05月11日 掲載
だれでも目を使えば疲れることがありますが、よく睡眠をとっても回復せず翌日になっても生活や仕事に支障を来たす程の疲れが残る場合は、眼精疲労という病的な状態と言えます。眼精疲労の原因は3つに大別されます。
①眼球そのものに原因がある場合
遠視や乱視があったり、老視が始まっているのに適切なメガネが使われていない。左右の視力差が大きい。斜視がある。両目を使って物を見る力が弱い。その他緑内障など目の病気がある場合。
②全身疾患の影響
貧血・低血圧・肝疾患。脳梗塞後遺症など脳血管障害がある。その他甲状腺疾患や糖尿病など、強く体に疲労を来たす疾患。また慢性的不眠や精神的ストレスも影響する。
③外環境が原因となる場合
不適切な照明。画面のチラツキや紫外線などの光刺激。空気の乾燥やホルムアルデヒドなど有害化学物質。
人は情報の8割以上を目から受けると言われますが、猛烈なスピードで情報化が進む現代では目から入る情報の絶対量が急激に増えています。厚労省が調査した働く人の特に疲れのひどい部位の調査結果を平成9年度と14年度を比較してみますと、部位として目が疲れると訴える方が確実に増加しています。(表1) またパソコン作業に従事している人々に限っての調査で体に不調が現われている方に特に疲れる部位を尋ねてみますと、実に90%の方々が目に疲れや痛みを訴えておられます。(表2)
眼精疲労の原因は一つではなくいろいろな要素が混ざっていますが、原因と思われるものが分かれば少しでも減らすように努めたいものです。エアコンの普及で最近特に注意したいものとしてドライアイがあります。戸田郁子医師等の調査によると表3のように、疲れ目のある方の約6割にドライアイが認められます。目の健康にとって涙は非常に大切なものですが、涙はまばたきをすることによって目の表面を潤します。私達は通常1分間に20回以上まばたきをしますが、読書時には1/2,パソコンで1/3、テレビゲームで1/4に回数が減ると言われます。特に室内が乾燥している時は適度な加湿が必要です。また目を大きく見開かなくても良いように、画面の高さは目の高さより少し低く置いてやや見おろす角度にするとドライアイの予防になります。女性の場合眼精疲労の原因として多いものに貧血と低血圧があります。特に貧血が強い場合は上のまぶたの奥に鈍痛があり、頭痛もしばしば伴ないます。貧血に対しての栄養管理も大切です。
このように眼精疲労がある時 は、目はもちろんのこと体全体の不調を知らせる警告信号とも考えられます。平田眼科では屈折、調節、眼底、眼圧検査の他必要に応じて涙液分泌検査や視野検 査等いろいろな眼科的検査を行なってその原因を究明しています。原因を探る上で患者様の生活スタイルやどのような時に目が疲れるかなどのお話しが大変役に 立ちますので、当院で診察を受ける際には遠慮無くお話し下さい。また目以外の部位の病気が原因と考えられる場合は、その病気に適切な科の先生を紹介し、受 診していただいております。
仕事、読書、パソコン、運転などで目が疲れた時は、まず充分に休息と睡眠をとりしっかりした栄養管理を行なって下さい。それでも目に不快感が続く場合は、今お使いのメガネがあればそれもご持参の上、早目に眼科受診されることをおすすめいたします。