コンタクトレンズをつけ外しする時の手洗いに関して
2021年02月02日 掲載
日本コンタクトレンズ学会のガイドラインでは、コンタクトレンズ(CL)をつける時と外す時には必ず石鹸での手洗いを行い、泡立てた石鹸で手の甲、指先と指の間、手首まで丁寧に洗い、十分にすすいでペーパータオルや毛羽立たない清潔なタオルで拭き取ることが推奨されています。
新型コロナウイルス流行前の2018年9月から2019年5月にかけて、平田眼科および小牧平田眼科でCLをつける時と外す際の手洗いや手指乾燥の現状を調査いたしました。その結果が日本コンタクトレンズ学会誌(*)に論文として掲載されました。 当院の調査結果では常に石鹸を用いて手を洗っている人はCLをつける時1000人中620人(62.0%)、外す際1000人中427人(42.7%)でした。CLをつける時に比べCLを外す際は水道水や石鹸での手洗い実施日数が少ないことがわかりました。CLを使用される方はCLをつける時はもちろん、外す時も水道水や石鹸で手洗いを必ずしてください。またCLを使用する際には手洗い後、手を清潔なタオルもしくはペーパータオルで乾燥させる必要がありますが、当院の調査結果では手洗い後の適正な手指乾燥方法の実施率はCLをつける時1000人中204人(20.4%),外す際1000人中151人(15.1%)と非常に低い値でした。手指が濡れたままCLを使用することは水分に含まれる微生物による汚染のリスクがあり推奨されておりません。また洗濯後一度使用したタオルはタオルが既に汚れている可能性があり望ましくありません。またティッシュペーパーでは充分な手指乾燥ができないためおすすめできません。手洗い後の手指乾燥には、洗濯後未使用のタオルもしくはペーパータオルを使用してください。
当院の調査では1日使い捨てソフトCL使用者と2週間交換型ソフトCL使用者の比較も行いました。1日使い捨てソフトCL使用者は2週間交換型ソフトCL使用者と比べて、CLを外す際に水道水および石鹸での手洗いの実施日数が統計学的に少ないことがわかりました。1日使い捨てソフトCLは一般的に安全性が高いといわれておりますが、その安全性を過信せず、1日使いてソフトCLを使用する場合であっても、CLをつけ外しする時は必ず石鹸や水道水での手洗いを行い、手洗い後は洗濯後未使用のタオルもしくはペーパータオルで手指をふき取ってください。
(*平田文郷: コンタクトレンズ装着時および外す際における手洗い実態調査. 日コレ誌 61: 141-148,2019.)