目の健康だより「網膜剥離(2)」

網膜剥離(2)

さまざまな目の病気

2015年11月02日 掲載

網膜は眼球の奥にあって景色を写し、脳に情報を送る大切な膜です。膜の断面は10層からなり、前の9層を神経網膜、10層目を網膜色素上皮層と言います。この間が分離してしまうのが網膜剥離です。視細胞は神経網膜内に有りますがデジカメのCCD画素に似ており、受けた光の情報を電気信号に変換して、神経線維を通して脳に送っています。視細胞には杆(かん)体と錐体の二種類があり、杆体は網膜の中心部以外に存在し、一眼に一億二千万個有りますが、白黒の判別と明暗のみに働いています。錐体は網膜中心部に約650万個あり、色の識別や非常に良い視力を出す為に働いています。神経網膜内の外側に位置している視細胞は、網膜色素上皮層から栄養の補給を受け、老廃物を逆に送り出したり密接な関係に有ります。その間が剥離すると補給が絶たれ機能しなくなります。

 

種類

網膜に円孔や裂孔が出来て、眼球内の水がそこから網膜の後側に回り込んで剥がれてしまうのを裂孔原生網膜剥離と言い、全体の約9割を占めます。残りがぶどう膜炎や腫瘍から起こる滲出性網膜剥離や、糖尿病網膜症や眼内出血などで硝子体が変性して出来た増殖膜が、網膜を引っ張って剥がしてしまう牽引性網膜剥離ですが、これらを非裂孔原生網膜剥離と言います。

 

早期発見

初期症状としてはゴミが浮いているように見える飛蚊症が急に目立つようになったり、視野の中に瞬間的に稲光を感じたりする事があります(数分間ギザギザした光が続くのは閃輝暗点で別の疾患です)。さらに進行すると視野の一部が欠けたり、物が歪んで見えたりし、視力が低下する場合もあります。これらの症状を感じたら早めに検査を受けましょう。しかし体質的に網膜の周辺部に格子状変性など弱い部分がある方に、時々存在する円孔だけの場合は全く症状が無いため、健診などの眼底検査で発見される事が多いのです。網膜剥離のご家族がおられる方、アトピー体質の方、近視の度数の強い方などは、念のために眼底検査を受けておいた方が良いでしょう。ボクシングの選手ほどではなくても、眼球に強い外力が加わると外傷性の網膜剥離が起こる事もあります。眼球を打撲した場合も早く検査を受けるようにしましょう。眼科以外の原疾患のある方は、その治療と並行して眼底検査も定期的に受けると良いでしょう。

 

治療

円孔や裂孔だけでまだ剥離が進んでいない場合は、その孔の周囲の網膜にレーザー光線を当て、熱作用で癒着させ、剥離させないようにするレーザー治療が行われます。すでに網膜が剥離して浮いていて、かつ硝子体による牽引が無い場合は、眼球の外側から、シリコンの塊を眼球外壁の強膜の外側から縫い付けたり、輪状に外側から巻き付けて外壁を内陥させる強膜バックリング術が一般的に行われます。

硝子体内の変性や増殖した索状物が収縮して、網膜を引っ張って剥離させている場合は、それらを切断除去する為に、眼球内に器具を入れて操作する硝子体手術となります。さらに剥がれた網膜を内側から外壁に接着させる目的で、眼球内にガスやシリコンオイルを入れて、術後1~2週間絶えずうつむきなど特別な姿勢を続けなければならない事もしばしばあります。網膜剥離はレーザーや手術の進歩で以前よりは視力の回復率が良くなりました。しかしすでに網膜の中心部まで剥離が及んでいる場合の視力の回復は、非常に困難なものとなってしまいます。また症例によっては、手術を複数回行うこともあります。網膜剥離は加齢に比例して発生率も上昇しますので、見辛さを感じてきたら、単なる年のせいと決めつけないで、他の眼科疾患予防とあわせて、早めに眼科検診を受けるように致しましょう。

 

強膜バックリング

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