遠近両用メガネ(シニアメガネ)
2018年08月09日 掲載
人が物を見た時目のピントを遠くや近くに合わせる力は、20歳の時の力を基準とすると、40歳で半分となり65歳以上でほぼ無くなります。それを補う為に手元専用の老眼鏡や、遠近ともに見えるように作られた遠近両用メガネや、遠近両用コンタクトレンズが使われています。
遠近両用のメガネは、以前は二重焦点や三重焦点レンズが用いられ、遠用部分と近用部分の境界が相手から見ても分かるので、抵抗を感じられる方が多く居られました。現在使われているタイプの多くは、境界が分からない累進タイプとなった為、相手から分かる事は無くなりました。累進タイプの遠近両用レンズは1959年(昭和34年)にフランスのエシロール社からバリラックスの名称で発売され、日本でも1967年(昭和42年)に発売されました。当初のものはゆがみがひどく広く普及はしませんでした。しかしその後年々改良され、日本の各社から日本人に適した新しい設計の、ゆがみが軽減したレンズが発売されましたので、今では多くの方が累進タイプを使うようになりました。
ここでは今主流の累進タイプについて、その特徴と注意点について説明してみましょう。累進タイプには使用目的によって、いろいろなバリエーションがあります(図参照)。ご自分の生活の上でどのような場面で主に使用するかを考えて、選択する必要があります。
① 遠近両用レンズ
車の運転が可能で通常の使用に便利ですが、長時間のパソコンや読書では疲れやすく、加入度数が強くなると、周辺のゆがみが強くなります。
② 新中近両用レンズ
遠中近レンズとも言われ、パソコン・読書等を主体としながら、遠方もある程度見えるように設計されており、そのまま外出も可能ですが運転は出来ません。
③ 中近両用レンズ
パソコン・読書時の視野がより広く、ゆがみも軽減しています。室内歩行は出来ますが外出には無理があります。
④ 近用ワイドレンズ
手元の活字だけではなく、1メートル位まで見易く設計されており、パソコンのモニターも顔を近づけなくても見易くなります。パソコンや読書その他デスクワークを長時間行う方には、最もおすすめ出来るレンズです。手元用には単焦点のいわゆる老眼鏡もありますが、35センチなど一定の距離のみにピントが合う為に、読書には使えても、少し離れたモニターを見る時には顔を近づけて見る事になります。
新たに遠近両用眼鏡の処方を受ける際には、今まで使用してきた眼鏡を当院診察時に持参しその使い勝手や、今後どのような場面で主として使いたいのかなどを医師に伝えると良いでしょう。加入度数や乱視度数の大小や、乱視軸の左右眼の違いなどで、累進レンズがどうしても使いづらい方がおられ、その場合は二重焦点レンズの処方になる事もあります。
累進レンズを快適に使う為にはフレームの選択も重要です。特にレンズの上下径は加入度数の大小やタイプにもよりますが、通常33ミリ以上が適しています。また上手な使い方のコツとして、特に①の遠近両用タイプの場合、遠方や階段を降りる時のステップなどを見る時には、アゴを引いてレンズの上の部分を使い、本を読む時にはアゴを少しあげてレンズの下の部分で見ると見易くなります。
遠近両用に限らず通常眼鏡においても、処方箋発行をご希望の場合はまず当院で眼科的検査の上、診察時に医師と相談される事をおすすめします。
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