遠近両用眼鏡が合わない人に対する他の種類の眼鏡処方
2021年11月08日 掲載
年齢の変化とともに、ピントを合わせる力(調節力)が徐々に低下します。特に近年はスマートフォンの普及が問題となっています。スマートフォンは目からの距離も近く、また文字サイズも小さいため強い調節力を必要とします。調節力が低下する40代になると、スマートフォンが見にくいとの自覚症状がよく生じます。眼鏡で低下した調節力を補う方法には以下のような様々な方法があります。
① 近視の単焦点眼鏡の度数を少し弱くする。
② 片眼を遠方重視の単焦点、もう片眼を近方重視にする(モノビジョン)。
③ 遠近両用(累進)眼鏡に種類を変更する。
④ 遠近両用(二重焦点)眼鏡に種類を変更する。
⑤ 跳ね上げ式眼鏡に種類を変更する。
一般的にはこのうち③の遠近両用(累進)眼鏡がおすすめです。レンズの上方で遠方、下方で近方を見ることができます。遠近両用(累進)眼鏡の度数の分布をアレンジしたもので中近両用(累進)眼鏡もよく用いられます。多くの方は遠近両用(累進)眼鏡で対応できますが、レンズの光学的な特性上、見え方には慣れが必要で比較的若い40代前半から使用すると違和感が生じにくいといわれております。遠近両用(累進)眼鏡のデメリットとしてレンズの横側でみると像がひずみます。また見たいものの距離に応じて首や顔を動かして、レンズの見やすい場所で見る必要があります。
遠近両用(累進)の見え方の違和感に慣れない方や、仕事などの都合上向いていない方には上記の①、②、④、⑤などの方法が用いられます。それぞれの方法にメリット・デメリットがあります。①の方法は見え方の違和感は生じにくいですが、遠方が見にくくなり、別に遠方用(運転用)の単焦点眼が追加で必要になる場合があります。②の方法は見え方の質は比較的良好ですが、眼精疲労が生じたり、遠近感が分かりにくくなる場合があります。④は遠くと近くの2か所にはしっかりピントを合わせることができます。しかし境目で像がジャンプします。また眼鏡のレンズの遠方部と近方部の境目が分かりやすくデザイン上好まれない場合があり、近年は使用している方が少なくなりました。⑤は特殊な専用フレームを使用し、処方されることは稀です。跳ね上げ式眼鏡には、右目1枚左目1枚の合計2枚レンズを使用する単式と、右目2枚左目2枚の合計4枚レンズを使用する複式の2種類があります。単式は主に近視の方に用いられ、近方を見る時にレンズを跳ね上げてメガネフレームを外すことなく近くは裸眼で見ることができるタイプです。近視がそれ程強くなく、乱視があまりない方が単式跳ね上げ式眼鏡の良い適応です。乱視や近視の強い方、遠視の方は単式では対応が困難ですが、複式跳ね上げ式眼鏡で対応可能です。跳ね上げ式眼鏡は、単式でも複式でも跳ね上げた時にやや特徴的な見た目となるため、そのことが気にならない方が対象です。またデメリットとして、特殊なフレームのため、耐久性が劣ること、価格も高価になる場合があること、眼鏡店におけるフレームの在庫が非常に少ないことが挙げられます。メリットとしては特に複式の場合は、遠方と近方などの任意の2か所の距離に、レンズ全体の広い視野でピントを合わせることができることです。
平田眼科・小牧平田眼科では遠近両用(累進)眼鏡が合わない方に、前述のような様々な眼鏡処方が可能です。