LED照明の注意
2016年11月12日 掲載
LED照明の注意(1)
平成26年青色LEDを開発した3人の日本人学者がノーベル賞を受賞されました。既に存在していた赤や緑や黄色に、青色LEDを混合することによって、白色光を作り出す事を可能にした事が授与理由と言われています。蛍光灯や電球光と異なり、照明光が拡散しないという欠点はありますが、消費電力の少なさと長寿命の特性で、急速に普及し始めています。しかしLED光の波長の特性には充分注意する必要があります。ヒトの目が感じる光を可視光線と言い、380nm~750nmの波長の中で、その長さの違いによって、色の違いを感じています。紫や青色を感じる380nm~500nmの光は高エネルギー可視光線(high-energy-visible light,HEV)と言われ、日本では青色有害光線とも言われています。網膜が可視光線に長時間暴露された場合、視細胞などが光化学作用で傷害されますが、その強さは可視光線の全波長の中で380~500nmの波長部分によるものが、極めて大きいのです。そしてこの波長は青色LEDが発する光の波長の主要部分とピッタリ重なっているのです。LEDによる白色光は青色LEDと他の色のLEDとの混合によって作られていますので、白色光にも青色有害光線が多く含まれています。LED照明は室内の照明は勿論、テレビやパソコン・スマホ・ゲーム器などのバックライトとして多用されています。青色有害光線は、視野の中心部分が見辛くなってしまう加齢黄斑変性症の原因の、一つの要因であるとも言われていますが、その前段階として若年者でも、非常に目が疲れやすい眼精疲労の原因にもなっていると言われています。
LED照明の注意(2)
家庭内の照明が全てLEDになり、長時間のゲーム器使用などでこの有害光線の影響を受け続けているとすると、現在の乳幼児や学童・若年者が将来視力にどのような悪影響が出てくるのかが、大変懸念されています。またこの波長の光線はヒトの睡眠リズムにも関与していると言われ、覚醒作用が有る為に、朝は良いのですが、就寝前に浴び続けると寝つきが悪くなり、不眠症の原因にもなってしまいます。予防としては目に入る青色有害光線の光量を減らす必要がありますので、パソコンやテレビなど液晶ディスプレイ画面を長時間見る場合は、その対策用の眼鏡を掛ける方法があります。ただこの眼鏡はレンズの種類によっては、信号機の色を誤認する場合もありますので、作る時に運転の適否を確認する必要があります。他に医学的に効果が証明されているものとしてはルテインが有り、その摂取が日米の多くの大学病院の眼科で積極的に勧められています。若年者の眼精疲労にも効果があるとも報告されています。薬ではなくサプリメントですので、食事の仲間として継続的に摂取することが必要です。眼科的エビデンスのあるサプリメントを紹介していますので、ご希望の方は当院受付にご相談下さい。