VDT症候群(IT眼症)
2014年05月10日 掲載
VDTとはVisual(又はVideo)Display Terminalsの略語で「視覚表示端末装置」と訳されます。
一般にはテレビ・ワープロ・コンピューターの画面のことですが、車のナビゲーションや銀行の自動支払機や駅の券売機の画面もVDTの仲間と言えます。
この中で長時間連続して原稿を見たり画面を見ながらキーボードを打ち続けるワープロやコンピューター業務によって引き起こされる不快な症状をまとめてVDT症候群と言います。大きく分けると目の症状・体の症状・精神の症状の3つがあります。
【目の症状】
○目が疲れる ○目が痛む ○物がかすんだりぼやけて見える
○まぶたがピクピクする ○目がかわく
【体の症状】
○首が痛む ○肩がこる ○手や指がしびれる ○背中や腰が痛む
○女性の生理不順
【精神の症状】
○イライラや不快感 ○憂うつ感 ○根気がなくなる ○全身の疲労感
今回はこのうち目の症状について検討してみましょう。
読書や文字を書くのも同じデスクワークなのにVDT作業はなぜ特に目が非常に疲れるのでしょうか。
- VDT作業の場合は画面と原稿とキーボードを視線が往復するために目の焦点距離が絶えず変動する。
- 本の活字は固定されているがVDT画面の文字は上下に流れたり、漢字変換でも当然文字の位置が変わるため、文字の位置が絶えず動揺している。
- 本の文字は反射光で認識されるがVDT画面の文字は透過光で発光体の文字を見ることになる。
- 読書時は本を下に置いて見下すため目を細めた状態で見ているがVDT画面は正面にあるために目を見開いた状態となり目の露出面積が大きくなり目が乾く。
対策としては・・・
- 原稿スタンド台を用いたりして画面と原稿の距離をそろえる。
- 画面サイズが大きすぎたりしないように自分にとって一番楽なサイズを選ぶ。
- まぶしさや反射光をさえぎる良質なフィルターを使用する。
- VDT画面を出来るだけ低い位置に置き視線が見下す角度になるようにする。
≪VDT症候群に対して平田眼科で行われる検査≫
視力検査・眼圧検査・眼底検査等の一般検査はもちろんですがVDT従事者には次のような検査が特に行われます。
輻湊 | 近くを見たときに両目の黒目が鼻側にスムーズに寄るか。 |
調節 | 遠方から急に近くを見たときにすぐにピントが合うか。 |
縮瞳 | 人間は近くのものを見たときは自然に瞳のしぼりが小さくなるようになっているがそれが正常に働いているか。 |
眼球運動 | 目の動きが左右上下に滑らかに動くか。 |
まばたき | 平均一分間に20回だがVDT業務中は1/3以下になると言われる。 |
涙 | 涙の分泌量は正常か。 |
以上の検査で異常があればその治療や対策がとられます。
VDT 症候群を訴える方の中には一般的検査においてもしばしば異常が発見されることがあります。最も多いのはメガネやコンタクトレンズが合っていないケースで す。デスクワーク用に近視なら弱目の度のレンズのものを新たに処方することもよくあります。次いで高眼圧や緑内障がある場合でVDTの作業時間を制限する よう指導することがあります。意外と見落とされているのが女性の貧血と低血圧です。この両者はしばしば眼球の奥の痛みと眼痛を起こしVDT症候群の症状が 著明に出るため内科医と連携して治療にあたります。
≪VDT症候群の予防≫
- 正しい作業姿勢で行うこと。
- VDT作業1時間毎に10分間休憩し軽く体操をすること。
- メガネやコンタクトレンズを持参して眼科検査を定期的に受けること。
- 高血圧・低血圧・貧血等のチェックを受けること。
平田眼科ではVDT症候群の方には上記のような検査と指導を行っていますのでご心配な方はいつでもご相談ください。また職場単位でのVDT検診も行っております。検査項目等は職場環境によって異なることがありますのでご相談ください。